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めまい治療|「治療の基本」

1. 治療にあたってのこころがけ

  • (1)脳に心配な病気がないことの確認と安心

    脳に特別な病気がないことを確認しておくことによる安心は治療への第一歩です。めまいに襲われた患者さんの多くの方は、脳に何ごとが起こったかと不安を持ちます。頻度は200~300人に1人ぐらいと低いのですが、脳梗塞や脳腫瘍などの怖い病気もあります。長年めまいを患っている人は、周囲に脳梗塞や脳卒中になった人がいたりして、脳の病気への心配はつきまといます。
  • (2)メニエール伝説にとらわれない

    めまいの原因はいまだ不明です。それでも、耳からと考えている患者さんが多く、めまいと言えばメニエール病と考えています。いまや、メニエール病はめまいの代名詞になっているぐらいです。この風潮にまどわされないことです。勿論、耳も原因のひとつですが、もし、耳だけが原因であれば、何故、頭痛、光がまぶしい、目の奥が痛い、ドキドキする、その他もろもろの「不定愁訴」が起きてくるのか説明できないはずです。めまいは全身に及ぶ症状と関連した未知の原因があるはずです。
  • (3)大切なくび周りへの配慮

    めまい患者さんの80%以上はくびのこりや痛みを感じています。また、めまいが起こる時の誘因動作として、くびを回す、振り返る、下を向く、その他いろいろなくびの動きが関係しています。 くびがどのようにめまいに関係しているか?は今後の課題です。くび周りの病気の解決は、一般的な整形外科、神経内科などの理論では証明できないものです。くびそのものよりも、くびから脳や全身に流れる水やリンパの流れを考えなければなりません。
  • (4)“何とか病”とするゴミ箱診断を見直す

    医師や患者さんの多くは、聞きなれた身近な病名や考え方で病気を納得しようとしがちです。自分の病気を、何かのせいと責任を押しつけると何処か安心するのでしょう。たとえば、「ストレス」「自律神経失調」「疲れ」「心の病気」「年のせい」「更年期障害」「血圧」として片付けてしまうのは止めるべきです。30~40歳ぐらいの患者さんが「年のせい」ということがあります。自分自身を客観的に見れば決して年でないことは判っているはずです。いずれにしても、病名はあくまでも便宜上の分類で「治療につながる理論」ではありません。 あえて、何かのせいとするのであれば、「体質」[体の歪み」だと思いますが、それだけではありません。自分自身を取り巻く人間関係、騒音、気圧の変化、電磁波などのさまざまな環境要因までも考えなければならないでしょう。めまいの犯人逮捕は一筋縄ではいかないのです。
  • (5)医者選び

    最初にどの医者あるいは何科にかかるか、難しい問題です。耳鳴があるから耳鼻科にかかる人もいれば、目が回るということで眼科、くびが痛いので整形外科、頭痛もあるから脳外科といった具合に色々な診療科目を受診しています。大きな病院では、あちこちの科をたらいまわしされるみたいな結果になります。私どもの受診患者さんの過去の受診科目を図に示しますが、苦労されている様子がうかがえます。セカンドオピニオンを求めるどころか、ドクターショッピングかとさえ言えます。医療費が何倍もかかってしまいます。 あらゆる病気がそうであるように、 医者選びは難しい問題ですが、「病気で苦労した医者」を探すことです。めまいになった医者を見つけることですが、それが一番難しい問題です。さしあたっての良策はめまいを患った友人の評判を尋ねてみることです。 なお「後医は名医」とされ、後医は前医の考え方を参考にしていますので、はじめに罹った医師との単純な比較はできません。
  • (6)クスリに頼り切らない

    めまいの程度にはピンからキリまであります。一日ゆったりしただけで治る人もいれば、1ヶ月近く救急入院する人もいます。その後でも何ヶ月、何年も医者通いをしている人もいます。この場合、治療が適切かどうかについて疑問をもつことも大切ですが、二ヶ月以上飲んでいて効かない薬はまず効かないと考えておくべきでしょう。“治らないことに慣れてしまうと”か“あきらめてしまう”ことは避けなければなりません。何処かで、ヨガめまい治療の理論が間違っている可能性もあります。同じクスリを何ヶ月も服用しているのも問題です。クスリのみに頼った治療では充分に治らないことを知っておいて下さい。クスリだけでは少し楽になる程度です。マッサージ、鍼灸、ストレッチ体操などを併用することが必要です。
  • (7)西洋医学的治療の限界

    長引いている患者さんでは薬を中心とした西洋医学的治療には限界があります。医師と相談して、漢方薬、鍼灸、整体マッサージ、ヨガなどを試して下さい。

2. 治療のステップ

めまいは急性の病気である反面、慢性的な病気でもあります。症状の増悪をくり返すことが多く、その治療は一元的ではありません。めまい症状を除去するだけではなく、再発に対する対策が必要です。さらに、頭痛、耳鳴、動悸、視覚異常などを考慮すると、治療にはそれぞれの症状に対応した切り口で段階的を行います。一度にすべての症状を治すことは困難です。

(1)めまい症状に対する治療

とりあえず、患者さんが一番求めているのは、グルグル回る回転性めまい、フワフワ、フラフラする非回転性めまいに対する治療です。いずれにしてもはじめは似たような治療から始めます。症状の経過により治療のステップを上げて行きます。

 キリン

①第一段階、くびこりに対する治療

明らかな脳の病気がある場合を除いて、めまいの病名にかかわらずくびこりに対する治療を行います。医師の指導による頚部マッサージを基本として、安定剤、筋肉弛緩剤などの薬剤を併用してくび症状の改善を目ざします。この間、約3~4週を目安としますが、70~80パーセントの方はこれで軽快に向っています。この間では、軽快に向っていてもめまいの再発はゼロではありませんので、めまい発作時用の抗めまい剤、精神安定剤の頓服薬が必要なことがあります。 なお、もっとも重要なくびマッサージの具体的方法については、リンパや頚の血管のある危険な部位であり、素人判断はよくありません。その詳細はホームページでは詳述しません。

  

②第二段階

この段階では医師と患者さんとの間で信頼関係や協力関係が大切です。 当院でのめまい患者さん136人の1ヶ月以内治癒率を図に示します 多くの方は複数の医療機関で診察を受けていますので、頚に対する治療が有効であることをご理解いただけると思います。

めまい患者136人の治療率

(1)くび症状の軽快により、めまいが治った場合、

くびマッサージを継続しながら薬剤を減量して行きます。

(2)治療3-4週後でもくび症状が軽快しない場合

くびマッサージの継続をおこたると再発が多くなります。この場合には、めまい症状の改善も不充分なはずです。治療上、非常に重要なステップです。

ⅰ)コンプライアンスチェック

コンプライアンスとは、もともと法律用語で、「法律を守っているかどうか?」を意味する言葉です。医学上にあてはめますと、①きっちりくびマッサージをしているか、②薬をチャンと服用しているか医師の指導に従って、の2点が基本です。この①②を怠っていれば、当然くび症状やめまい症状の改善が期待できません。もう一度、治療のスタート時点からやり直しです。

ⅱ)くびこりの原因を見落としているか?

くびマッサージや内服をチャンとしているコンプライアンス良好の場合では、くびこりに悪影響する因子を見落としているかを考えます。この場合には、医師と患者さんとの協力関係が大切です。それらのチェックポイントとしては、①PC作業によるつかれ目、②歯科的な咬合不全、顎関節症③くびを始め姿勢を悪化させる腰痛、股関節の硬直、ひざ痛、外反母趾など、④くびや肩に負担をかける仕事や日常作業などへの長期的対策が必要になります。育児の女性も首こりに注意が必要です。このステップで、歯科医への受診を念頭に入れておきます。特に歯科的チェックは患者さん自身が「歯やアゴは悪くない」と感じていなくても必須です。また、頚部を中心とした鍼灸治療も必要になります。西洋医学的治療の限界でもあり、漢方等の併用も考えます。

携帯電話

ⅲ)くび症状が軽快するも、めまい症状が消失しない場合

この時点で、めまいが、そのままの治療では長期化する可能性があります。漢方薬、鍼灸治療、あるいは民間治療を試すのも良いでしょう。枕の高さ、ベッドの硬さ、材質に配慮し、環境因子としての喫煙、携帯電話を枕元に置くような習慣にも気をつけましょう。

ⅳ)治療開始から2か月経過しても治らない場合

この場合は医者泣かせです。この時点でもっとも目立つのは、不安やうつなどの心理的症状が強いことです。抗精神薬や診療内科の受診をすすめるのがこの時点でしょう。それでも、めまいの原因として重要な体の歪みや左右差に目を向けておかないと治療効果は期待できません。各種の不定愁訴対策として民間治療を試みてください。思いがけず効果が出ることがあります。

3. 緊急時の対応

グルグル、グラグラといった強いめまい症状の出た場合には、強い不安感や嘔吐に襲われどうしても119番による救急受診が必要な場合もあります。そんな場合でも脳には心配な病気を知っておけば、安定剤や抗めまい剤を頓服して、自宅で安静しておくのも一策です。

4再発対策